高齢者の薬物治療に関する実践と研究の振興及び知識の普及、会員相互及び内外の関連学会との連携協力を行うことにより、老年薬学の進歩を図り、もって我が国における高齢者医療の発展に寄与し、社会に貢献することを目的とする。
設立趣旨
高齢者では、生活習慣病などの慢性疾患に認知症、骨粗鬆症といった高齢者特有な疾患が合併し、その結果もたらされるポリファーマシーが、加齢変化に基づく薬物感受性の増加とあいまって薬物有害事象の発生増大につながるリスクがあります。また、認知機能の低下、視覚機能の低下等により服薬管理能力が低下した結果、残薬の増加や服薬アドヒアランス低下を招き、思ったような治療効果が得られないことがあります。高齢化に伴うロコモティブシンドローム、サルコペニア、フレイルなどのADLの低下を防ぐ予防医療分野における臨床医、研究医、薬局薬剤師、病院薬剤師および薬学研究者や管理栄養士、そして製薬メーカーの医薬品情報担当者等の多職種間での連携の在り方、さらには、高齢者が矜持を保って人生を全うするための仕組みとしての地域包括ケアシステムの中で、在宅医療を担う一員としての薬局・薬剤師の在り方等の研究と実践を積極的に進めるために、老年医学の専門家を交えて、新たに老年薬学の領域と役割を明確にし、高齢者のQOL・ADLの向上を図り、薬物治療の適正化を研究、啓発する場として「一般社団法人 日本老年薬学会」が設立しました。